少し遅れましたが今年のエンジェルスのドラフト結果についてまとめようと思います。
今年のエンジェルスは、久々の全体10位以内指名権。スカウティングディレクターは昨年までのリック・ウィルソンをエプラーGMが解任しカーディナルスでスカウトをやっていたマット・スワンソンへ。最近ウィルソンがドラ1で獲ったテイラー・ウォードやマット・サイスも微妙な感じですからね・・・
1巡目(全体10位)、2巡目(全体47位)を中心に、選手のデータがある分まとめました。
全体的にはピッチャーヘビーに取りましたが、ドラフト1位は今ドラフトで最も5ツールのポテンシャルを持っていると評価のある高校生外野手アデルを指名し、また1巡目指名候補の有望株でしたがMRI結果の懸念から指名漏れした大学生右腕カニングを2巡目指名。ハイリスク・ハイリターンと呼べるかもしれませんが近年では2014年のNewcomb以来の楽しみな選手が入ってきたと思います。
エンジェルスは先日1位指名アデルと契約に合意しました。契約金は437,7万ドル。最後に雑感を書いてます。
もくじ
◯Jo Adell OF 18歳(1巡目、全体10位)
Hit: 45 | Power: 55 | Run: 65 | Arm: 60 | Field: 60 | Overall: 50
Ballard High School, Louisville出身の18歳、右投右打。
以前からエンジェルスは興味を示しているというニュースもあり、念願成就でしょうか。
2017年ドラフトNO.1の5ツールプレイヤー。卓越した身体能力とパワーで注目を集めています。
30本塁打ー30盗塁のポテンシャル。
パワーとバットスピードが高校生ではトップクラスで、今年の成績は打率.562、25HR、61打点、22盗塁でケンタッキープレーヤーオブザイヤーを受賞。
25HRは全米の高校生で一位。木製バットで150m弾を打てるそうです。外野から95マイル強の返球、60ヤードを6.4秒で走る俊足など、身体能力も高評価。
138打席で25HRは5・5打席に一本の割合。
ハイリスクであると言われているのは、打席においてプルヒッターであり、引っ張る傾向が強くメジャーリーグでは三振が増え打率が残せないのではという疑問が理由のようです。
比較されている選手はMelvin Apton.JrやByron Buxtonで特にアプトンみたいな選手になるんじゃないかと言われています。アプトンと比較されるとなんか微妙な気も・・・笑
◯Griffin Canning RHP 21歳(2巡目、全体47位指名)
Fastball: 55 | Curveball: 50 | Slider: 50 | Changeup: 60 | Control: 55 | Overall: 55
UCLAのワークホース、21歳大学生右腕。
2012年に高校生でロッキーズから38巡目指名を受けていますが、拒否して大学へ。
評価を上げて今ドラフトで2巡目指名されました。
今年の成績119イニングと140奪三振は、どちらもPac-12でリーグ1位。最速95マイル、通常90マイル前半の直球にプラスピッチのチェンジアップを持っています。またこの2球種に加えメジャー平均クラスのカーブとスライダーも投げられるとされ、どの球種でもストライクが取れる完成度の高さからメジャーに上がるのはかなり早いとの評価。将来3番手クラスのスターターを期待されています。
185cm, 77kgと恵まれた体ではないながら、投球センスで自身を証明してきました。4球種をうまく使い配球を組み立て、フォームも安定してると。メジャー選手ではゲリット・コールやトレバー・バウアー程ではないがポテンシャルは近いと比較されています。MLB.comのドラフト選手ランキングではアデルよりも評価が高い17位でしたが、MRI検査の結果によりドラフト1位で指名するのを躊躇されたようです。
ですが2巡目指名としてはかなり面白い指名だと思いますし、今ドラフトでエンジェルスがとった選手の中では最も早くメジャーリーグに上がるであろうと言われているので、期待大。1先発で平均116球投げていたらしく、それがMRI結果と関連しているのかも。エプラーGMは今年のカニングの投球は禁止しました。
ちなみにカリフォルニア出身の地元っ子でエンジェルスファン。家族はシーズンチケットを買うほどの・・・(以下略)。最近同じことを書いた気が。好きな選手はフランシスコ・ロドリゲスらしいです。
◯Jacob Pearson OF 19歳(3巡目、全体85位)
Scouting grades: Hit: 55 | Power: 50 | Run: 60 | Arm: 30 | Field: 50 | Overall: 50
Louisiana High School出身の左打の外野手。MLB.comではランク56位。最高で20HR-20盗塁のポテンシャル。
アデル同様ハイシーリングな高校生外野手という点では似ているかもしれませんが、ピアーソンは守備に関しては評価が高くなく、打撃とスピードで期待されている理由です。
今年は 打率.519、 12HRでGatorade’s state player of the yearを獲得。
投げる右肩に手術経験があり肩は20-80スケールで30評価。センターとして活躍するには肩を鍛える必要があるとのこと。まだ19歳と若いので、こちらもじっくり育ててほしい選手。
◯John Swanda RHP 18歳(4巡目、全体115位)
去年はアイオワでGatorade Player of the Yearを受賞した右腕。
高校では3-1 , 2.83 ERA , 29 K。 打ってはショートで.486AVG, 7HR, 61RBI。
90マイル前半の速球と、カーブが決め球。コントロールに優れ、チェンジアップを磨けばMLBのスターターになれるポテンシャル。
ネブラスカ大学に進学するか、エンジェルスと契約するかの選択。契約金的には46万ドルのボーナスにサインしてもおかしくないらしいです。
ツイッターでのエキサイト具合を見てると契約濃厚か。
ぜひお待ちしています。
◯Joseph Booker RHP 19歳(5巡目、全体145位)
フットボール(クォーターバック)との掛け持ち選手。ベースボールでは最速93マイルに達する速球とブレーキングボールで 高校1.01 ERA、112 Kと好成績。
ショートでもプレーし打率.464、7HR。身体能力が高く、伸びしろのある投手とのこと。
◯Jonah Todd CF 21歳(6巡目、全体175位)
左バッター。大学ではリードオフで打率.376。守備と選球眼に優れ、5ツール全てでアップサイドがあるかもしれない外野手。
◯Dennis Brady RHP 20歳(7巡目、全体205位)
8歳の頃からメジャーリーガーになるのが夢。去年のNew Jersey player of the year。
90マイルの速球と好評価のカーブ。
大学では85奪三振で7与四球と高K/BB。
◯Connor Riley RHP 22歳(8巡目、全体235位)
83イニングで130奪三振。昨年は1試合16Kも記録し、Coastal Plain Leagueで100奪三振以上を記録した3人目の投手。
◯雑感
高いアップサイドの5ツールプレーヤーAdell,MRIの懸念もあるが即戦力に近い期待をされている Canningの1、2位はかなり面白い。久々に期待できそうなプロスペクト。
もう何年もメジャーワーストのファームシステムなんて言われてますが、その割にプロスペクトを放出しては即戦力を維持してきたのがエンジェルスです。
最も期待されていた14年ドラ1の100マイル左腕Newcombをシモンズとのトレードで放出してからは、他球団に入るようなエース候補、主砲候補みたいなスペシャルなプロスペクトもいなくなり、今年のドラフトはスカウト責任者も替えてマイナー再建の期待を担っていました。
別に2009年のトラウト、リチャーズ以外に若手が出てきていないわけではなく、ドラフト1位を育てる前に放出してるだけ(SEAジーン・セグラ、ATLショーン・ニューカム)なので今回のドラフトで指名した選手は背水の陣のつもりで生え抜きとして育てて欲しいです。ディポト時代はトランボでスキャッグス、ケンドリックでヒーニー等なんとかやってきましたが、そろそろジリ貧でしょう。
また、全体で投手を多く取りながらも今回3巡目以内で外野手を2人獲っているのは、やはりトラウトとの契約が切れた時に延長できるかわからないという思惑もあるのかも。トラウトのFAは2020年オフ、アデルがもし(めちゃめちゃ)順調に行けば翌年あたりに昇格できるかなという年。
個人的には、ファームが弱いという弱点を抱えながらも、エンジェルスはやはり面白いチームだという印象は強いです。投手は復帰しさえすれば若く伸び代のある選手が多い(リチャーズ、ヒーニー、スキャッグス、トロピアーノ)ですし、リチャーズなし、トラウトなしでも意外に善戦できる布陣。エプラーGMの目指す守備的チームの完成も、あとは投手さえ戻ればという感じ。
その意味で、戦力を維持しつつプロスペクトを育てることも可能だと思います。願わくば、AdellとTroutが並んで外野に立っている、そんな光景を数年後に見るのが楽しみです。
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